AUらぼ

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救急病院の便利な使い方 in オーストラリア

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異国で病気になるのは不安なものである。

特に原因不明の病気は。

一年ほど前、私は謎の頭痛にみまわれた。

 

自殺頭痛

その頭痛には規則正しいサイクルがあった。

毎朝7時半くらいから目の奥が痛み出し、次第に激しい頭痛へと変わり、正午くらいに治まり始め、昼過ぎには回復するのである。

その間の痛みは大変なもので、ベッドの中で数時間もんどりうつような状態だった。

(北斗の拳でレイが延命のためにトキに秘孔を突いてもらったときのような。)

 

ネットで調べたところ、私の症状は「群発頭痛」に似ていた。

またの名を「自殺頭痛」と呼ぶらしい。

(自殺したくなるから。)

その別称が納得できる点についても、私の症状は「群発頭痛」と似ていた。

 

その症状が二日続いた後だったか。

ともかく、昼過ぎには起き上がれるようになるので、私は近所のGP(かかりつけ医)を訪ねた。

 

GP(かかりつけ医)制度

日本では自分の症状から推測していきなり専門医に行けるが、オーストラリアではまずGP(かかりつけ医)に行かなければならない。

そして紹介状をもらって専門医に行く。

(ただし確信はない。別の方法もあるかも知れない。) 

 

GP制度は端的に不便である。

二度手間になるからだ。

また私の主観だが、オーストラリアのGPは、日本の町医者より劣る。

GP制度は素晴らしいと礼賛する人もいるが、私はこの制度に良いイメージを持っていない。

 

「GPはブローカーにすぎない」

過去に同僚のインド人がGP(かかりつけ医)について、そう揶揄していた。

GPは、専門医を紹介するだけの仲買人でしかない――そういう意味だ。

私はこれを、言い得て妙だと思っている。

 

ありがちなGPの対応

さて午後になって回復した身でGPを訪ねたものの、相手は全く本気で取りあってくれない。

私は群発頭痛の説明を印刷したものや、自分の体調の経時変化を記したノートを持参したがロクに見てくれない。

体温を測定したり喉の奥を見たりと、通り一遍の診察をした後、

「じゃあ、証明書は要る?」

と軽いノリで尋ねてくる。

 

なぜそういう対応になるのか?

過去記事「有休取ると給料17.5%増し」にも書いた通り、オーストラリアの会社では有給休暇とは別枠でSick Leaveがあり、それを取得するには医師の証明書を提出しなければならない。

 

逆に言うと、仮病でも医師の証明書さえあれば立派なSick Leaveになるのである。

だから恐らく、GPを訪ねる何割かの人の症状はさほど深刻ではなく、単に「証明書」が必要でやって来るのだ。

GPは日々、そうした「患者」に接している。

「自分の仕事は証明書を発行すること」とさえ考えるようになっているかもしれない。

 

実際私も、初診時はそれほどdesperateではなかった。

明日になれば治っているかも、と楽観視さえしていた。

 

規則正しくやって来る自殺頭痛

しかしながら私の楽観は打ち砕かれる。

翌日も、死にたくなるほどの苦痛に苛まれた。

 

この病気が深刻であることを知らしめるため、この日も同じGPを訪ねた。

というのも、別のGPに行くと、初診からやり直しになるからだ。

おそらくこの日もまだ彼は本気ではなかったが、データベースで専門医を調べて連絡先を教えてくれた。

 

さてその専門医に電話してみると、予約は2か月先にしか取れないと先方は言う。

私は絶望的な気分になった。

 

さらにその翌日、やはり頭痛は来た。

私は粘り強く、またも同じGPを訪ねて懇願した。

「頼むからどうにかして欲しい」

 

相手はようやく本気になった。

病院内のMRI検査を受けさせてくれ、専門医に自ら電話して私の予約を融通しようとしてくれた。

それでもしかし予約は取れない。

「そんなのは耐えられない」

私は必死に訴えた。

 

GPによる最高のアドバイス

彼はしばし考えこみ、これは大きな声では言えないが、と前置きして言った。

「救急病院に行ってみろ」と。

 

私は藁にもすがる思いだった。

その日のうちに救急病院に行き、「XX科で見てもらうように」というGPの診察内容を伝えた。

 

専門外の医師による適切な診察

XXに通され、診てもらうまで2時間は待っただろうか。

ようやくXX専門の医師が現れた。

私の症状やMRIの結果を一瞥すると彼は無下に言い放った。

「君はXX科じゃなくて、YY科に行くべきだった」

続けて彼は言った。

He is wasting your time!

「そのGPは君の時間を無駄にしている」と。

 

だがたぶん本音では

He is wasting my time!

「そのGPは私の時間を無駄にしている」だったのだろう。

 

ガーン!

一瞬、また最初からやり直しかと思ったが、それでもこの医師は薬の処方をしてくれた。

どうやら、私の症状は奇病の類ではなく、よくある病気だったらしい!

 

今度はドラッグストアに走り、薬(抗生物質)を買って服用した。

(オーストラリアでも、夜も営業しているドラッグストアがあることを知った。)

 

そして翌朝…。

なんと頭痛は、ほぼなくなったのである!

何という薬の効き目!

何という適切な医師の指示!

 

素人でも知っている病気

週末をまたいで完治を確信した私は仕事に復帰した。

同僚に事の顛末を話すと、

「ああ、sinusがinfectedで圧迫されたのね」

と、明快に私の症状を分析した。

それを横で聴いていた別の同僚は

「自分もなったことがある。Massive headacheが…」

と言及した。

 

救急病院のゴタゴタで、私の病気が群発頭痛だったのかどうか分からずじまいだった。

けれどもそれは、素人でも知っているくらいありがちな病気だったのだ。

GPの何という無能っぷり!

 

救急病院利用は正当化されるか?

ちなみに救急病院は無料だった。

(私はMedicare Cardを持っているから。)

日本でも無料であるのをいいことに、大した病気でもないのに救急車を呼ぶ人がいるという問題がある。

 

私の場合、救急病院を利用したことは正当化されるだろうか?

もちろん、正当化される。

私の事例こそ、救急病院が機能した最たる例である。

市民の納税(私自身のを含む)が意義あることに使われたのだ!

 

またGPは完璧なsolutionを提案した。

さすが経験豊富な医師。その解決法は私には絶対に思いつかなかった。

 

また、救急病院の受付の人は

「専門医が予約できなくて救急病院に来る人はけっこういる」

と事もなげに話していた。

彼らにとって私のような事例は日常茶飯事のようだ。

だから病気や怪我をして急ぎの場合は迷わず救急病院を利用すべきである。