AUらぼ

オーストラリアを知り、移住・留学を成功させるためのブログ

日本人の高すぎる金融リテラシー

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オーストラリアの不動産屋とテナントの会話…

 

不動産屋 「今回の家賃のお支払いがまだですが」

テナント 「その件で相談なんだけど…」

不動産屋 「はい」

テナント 「家賃の支払い日を給料日の翌日にできないかな?」

不動産屋 「可能ですけど」

テナント 「そうしないとすぐに使い切って家賃が払えなくなるから」

 

「日本人は金融リテラシーが低い。だからダメなんだ!」

と言う人がいる。

 

日本人の金融リテラシーが語られるとき

比較対象は

  1. 欧米人(オーストラリア含む)で

日本人がダメな理由として挙げられるのは

  1. 株や不動産などに投資しないから

である。

 

欧米人(オーストラリア含む)が、日本人よりも金融リテラシーが高いというのを、私はどうしても信じられない。

 

というのも、私がオーストラリアで出会った人たちは、経済や投資についてトンチンカンなことを言う人ばかりだったからだ。

だから私は、

日本人の金融リテラシーはむしろ高いのでは? いや、高すぎるのでは?

と本気で思うようになった。

以下にその理由を説明する。

 

そもそも金融リテラシーとは?

朝日新聞によると

金融商品やサービスの選択、生活設計などで適切に判断するために、最低限身につけるべき金融や経済についての知識と判断力。「金融リテラシー・マップ」では、この能力を「生活スキル」と位置づけている。

とのことだ。

 

つまり、「生活に支障をきたさぬよう、お金を有効に使ったり計画的に貯めたりする」ことができればそれで合格なのである。

 

巷で言われる「金融リテラシー」のイメージは

「株などに投資してタイミング良く売り抜けて利益を得る」

といったところだろう。

 

しかしそれは「ものすごくレベルの高い金融リテラシー」であって、世の中のほとんどの人に、そんな技術は要求されていない

 

金融リテラシーが低い分かり易い例

私の知り合いには不動産エージェントがたくさんいる。

彼らから、オーナーやテナントの笑える話をよく聞く。

 

その中には冒頭の会話のように、「有り金はすぐに使い切っちゃうから家賃が払えない」という話がものすごく多い。

そもそもシドニーやメルボルンの家賃が高すぎるのも理由の一つだが、計画性がなさすぎるということも挙げられる。

これは金融リテラシーが低い一例だ。

 

過去記事「P2Pレンディングでボロ儲け」で紹介したように、オーストラリアではパーソナルローンという借金が大流行である。

10%前後の金利を払って借金するなんて、金融リテラシーが低いと言わざるを得ない。

 

手元資金を使い切ったり、高利の借金をしたり……将来、彼らは行き倒れてしまうだろうか?

いや、必ずしもそうならないだろう。

そんなふうに金融リテラシーが低くても、正当化される場合があるのだ。

 

貯蓄しないことが正当化される条件

以下にインフレ率の国際比較を示す。

(この図は政治経済評論家である井戸万作さんのTwitterから拝借した。)

  

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オーストラリアは過去20年において、インフレ率が平均2.5%だった。

インフレの世の中においては、将来、お金の価値は目減りする。

 

インフレ率2.5%が20年続くと、現在のお金の価値は20年後に61%になる。

言い方を変えると現在の100ドルの価値は20年後に61ドルになる。

であるならば、今、手元にあるお金は貯金せずに使ってしまった方が得だ。

 

もちろん人々は、毎度そんなことを考えて消費したりしなかったりする訳ではない。

人は、欲望の赴くまま行動すれば、手元のお金は後先考えずにすぐに使ってしまうだろう。

 

インフレの世の中においては、後先考えずに消費しても、その行動は結果的に正当化される。

言い換えると、世の中がインフレであれば、貯蓄しなくても後になってさほど問題にならない。(賃金も上昇するから)

 

加えてオーストラリアでは給料が週払いだったりする。

ひょっとするとそれも消費行動に影響を与えているかもしれない。

 

デフレなら貯蓄は合理的な行動

一方で、日本の過去20年の平均インフレ率は0.1%だ。

インフレ率がマイナス、つまりデフレの年もあっただろう。

 

デフレの世の中では、お金の将来価値は上がる。

つまり貯蓄は経済的に合理的な行動なのである。たとえ利子が0%であっても。

 

合成の誤謬

将来の支出に備えて貯蓄に励むのは、個人の行動としては、完全に合理的だ。

デフレ圧力の強い日本では、円預金が最強の投資になり得る。

(デフレ圧力=円高圧力)

 

過去記事「日本人はリスクが大好き」の冒頭の会話でも触れたが、日本円定期預金一択というポートフォリオは、実はけっこう理にかなっている。

 

しかし貯蓄が個人として経済的に合理的な行動だとしても、皆が同じ行動に走ると、全体としては、

消費の低迷=景気の低迷

という不利益を生じる。

これは合成の誤謬と呼ばれる現象だ。

 

日本経済が長らく低迷している理由の一つは、日本人の金融リテラシーが高すぎるからなのである!

(非生産年齢人口の増加 & 生産年齢人口の減少 が根本的な問題だが。)

 

日本人は金融リテラシーを下げるべき

平均的な日本人(=金融リテラシーが高い)の投資行動を格好良く?描写すると

  1. 日本の株式市場や不動産市場の不確実性と、
  2. 潜在的なデフレ圧力(=円高圧力)を鑑み、
  3. 合理的な判断の結果、
  4. リスク資産の割合を下げ、
  5. 世界最強通貨の一つである日本円によって
  6. キャッシュポジションの割合を高く保っている

となる。

 

日本人がもっと金融リテラシーを下げて(バカになって)、後先考えずに消費しまくれば結果的に人々の収入は増えインフレ率の目標など簡単に達成されるはずである。