AUらぼ

オーストラリアを知り、移住・留学を成功させるためのブログ

株の配当金が税引き後に増える怪奇現象

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飲み会での会話…

 

私 「日本では遺産を相続したら税金を払わなければならない」

オージー&中国人 「そうなの?」

私 「だから不動産の相続を親族で押し付け合う場合がある」

オージー&中国人 「マジで?」

 

オーストラリアは相続税がない国として有名だ。

それに加えて株の配当も一度しか課税されない。(条件付き)

 

これは単にオーストラリア政府が大盤振る舞いだからという訳ではなく、二重課税はしないという崇高な理念を掲げているからなのだ!

 

日本の税制

  1. 働いて収入を得る → 所得に課税される
  2. 可処分所得で消費する → 消費税を課税される
  3. 余剰資金で株に投資する → 株の配当に課税される
  4. どうにかこうにか資産(配当金の手取り分含む)を築いて死ぬ → 相続税を課税される

 

オーストラリアでは「4. 相続税」がなく、また「3. 配当」にかかる税も一度だけだ。

 

オーストラリア株の配当に対する課税

過去記事「株価が上がる原理」において、オーストラリアには配当利回り5%以上の銘柄がゴロゴロしていると述べた。

 

仮にあなたが配当利回り5%の銘柄を1万ドル分(80万円相当)保有していたとしよう。

期日が来て、1万ドルの5%=500ドルを配当として受け取ったとする。

 

オーストラリアでは、「投資で得た収入」も「労働で得た収入」も「その他の手段で得た収入」も合算して税金を計算する。

 

仮にあなたがオーストラリアでフルタイムの雇用につき、平均給与83,700ドルを得ているとする。

$37,001 – $90,000

のレンジには32.5%課税されるから

配当には32.5%課税されそうだが、必ずしもそうはならない。

 

Franking Credit

オーストラリアの法人税は、現在、基本的に30%だ。

配当というのは、税引き後の利益の山分けだから、すでに法人税30%が支払い済みということになる。

二重課税しないのがオーストラリアのポリシーだと前述した。

するとあなたの配当には

32.5% - 30.0% = 2.5%

しか課税されない。

 

(この相殺される分はFranking Creditと言い、法人税が全て払われている場合はFully frankedと呼ばれる。ただし常にFully frankedというわけではなく、配当への課税は

32.5% - 20.0% = 12.5% になったりすることもある…。しかし話がややこしくなるから、以降Fully frankedで話を進める。)

 

最終的に2.0%のMedicare Levyが追加して引かれるから、4.5% (=2.5+2.0) 分が500ドルから差し引かれ、結果、配当におけるあなたの手取りは477.5ドルとなる。

 

Superannuation内で株を保有すると税引き後に配当利回りが増える

過去記事「毎年確実に27万円節税する方法」等で、Superannuation内での課税は15%であると述べた。

すると奇妙なことが起こる。

 

繰り返すが、二重課税しないのがオーストラリアのポリシーだ。

そして配当と言うのは税引き後の利益の山分けだから、すでに法人税30%が支払われていることになる。

 

するとあなたの配当には

15% - 30.0% = -15%

マイナス15%が課税される。

つまり過払いの15%分が政府から戻ってくる。

 

Superannuation内ではMedicare Levyは課されないから、配当の500ドルは

500 x (1 + 0.15) = 575

となり、あなたの手取りは575ドル、つまり税引き後に配当利回りは5.75%に増加するのだ!

 

オーストラリアでは猫も杓子も不動産投資で、実際に過去のほとんどの期間に渡って投資家(自宅含む)に利益をもたらしたが、株もかなり有利なのだ。

 

(実際にSuper内で株を買うにはSelf-managed superfundまたはそれに準ずるものをset upしなければならない。私は凝り性だから私のSuperはSMSFだ。)

 

金持ちは不当に優遇されているという批判

2019年5月の選挙で野党の労働党は、このFranking Creditの制度を廃止することを公約に挙げた。

すなわち、配当に対して二重課税を行うということだ。

 

株式投資して配当を受け取るのは余剰資金があるということで、つまりそれができるのは金持ちだ。

「金持ちばかりがずるい方法で儲けやがって」

というやっかみを利用して政権奪回を狙ったわけだ。

 

私はこの公約には失望した。

先人が掲げた二重課税はしないという理想はどこへ行ったのか。

一貫性のある美しい税制を、(日本みたいに)ツギハギだらけの醜いものに変えようと言うのか。

 

…というのは後付けの理由で、私も少額ながらFranking Creditの恩恵を受けていたからだ。

 

結果的に労働党は選挙に負けたから、それは実現されなかったものの、今後も公約に挙げ続ける可能性がある。

 

しかし、オーストラリアで働くほとんどの人はSuperannuation経由でオーストラリア株に投資している。

どの政党を選ぶかは、Franking Creditの廃止がSuperannuationファンドの成績に悪影響を及ぼすことも考慮に入れるべきだろう。

(私自身は選挙権を持たないが。)

 

投資も労働も経済活動の一形態

オーストラリアでは、「投資」も「労働」も「その他の手段」も収入は合算して課税されると前述した。

移民国家だから烏合の衆が理解できるよう単純化した結果だろうか。

 

一方、日本では「投資」や「労働」や「他の手段」による収入は、違う種類の収入として税金の計算を別個に行う。

 

私はオーストラリアの方が、一貫性があって美しいと思う。

そもそも「投資」や「労働」や「他の手段」の違いを誰が決めるのか?

 

不動産投資は住居を買ってそれを住宅サービスとして提供するビジネスだ。

自営業者は自分のビジネスを所有する。

ビジネスにおいては会社を買ったり売ったり合併したり分割したりする。

株式投資はビジネスの一部を買うことだ。

 

今、日本では副業が推進されている。

副業が一般的になれば、「投資」や「労働」や「その他の手段」の線引きが曖昧な世の中になって行くはずだ。